マッサージ業界では、「眠ると効果が半減する」と言う人もいますが、現代医学の世界ではそうでもなさそうです。
確かに、施術中は眠らずに心地良さを「肌で感じる、あるいは脳で感じる」ことはオキシトシンなどの癒しのホルモンを発生させるには良いことでしょう。
しかし、脳疲労(脳過労)による不定愁訴と呼ばれる自律神経系やホルモンバランスの乱れによる症状は、脳や脊髄(頭蓋骨や背骨の中)に溜まった疲労物質洗い流す必要があります。
それを行っているのが睡眠による「グリンパティックシステム」です。
米国ロチェスター大学の発表を要約すると「人は睡眠中に脳の細胞が縮んで隙間を作り、脳脊髄液の流れが活発になることで老廃物を流し出す。睡眠は脳のクリーニング。」 と述べています。
私たちセラピストは、「老廃物と言えばリンパ」が思いつくかもしれません。間違いなくリンパ液は老廃物を運び解毒します。しかし、脳内にはリンパが無くどのように老廃物を除去しているかは不明のままでした。
以前から、脳脊髄液がリンパ液の役割をしているのではないかと推測されていましたが、近年の研究では、やはり、その通りで脳脊髄液はリンパ系システムを担っているようです。
脳の細胞は、大きく分けて①神経細胞と②グリア細胞(①以外の細胞のこと)の2種類があります。
研究では、睡眠中に②グリア細胞が60%収縮することで①神経細胞との間に「大きな隙間」を作り出していることが判明しました。
その結果、隙間を流れる脳脊髄液の流れが活発になり脳の老廃物が洗い流されるクリーニングが行われます。
それが、グリンパティックシステム(glymphatic system)です。
(眠っている間は、脳脊髄液の流れが4~10倍にもなると言われています。)
古くから脳脊髄液は「生命の源」とも呼ばれていますが、老廃物を回収するだけでではなく、ホルモンの運搬も行っており、自律神経、免疫力、自然治癒力に大きく関わっている本当に重要な体液です。
私たちの身体は、ホルモンバランスの乱れにより様々な症状に悩まされます。
整体院、リラクゼーションサロンにお越しになるお客様もそうです。
もし、あなたのサロンで質の高いヘッドマッサージで質の高い睡眠を提供できれば、 施術中に脳と脊髄のクリーニングが行えます。
さらに、ホルモンバランスの調整に働きかけ、不妊や更年期障害のサポートにもなります。
こんなに素晴らしい技術はありません。
これまで、様々な調査で不眠症(睡眠障害)がアルツハイマー病になりやすいと報告がありながら、そのメカニズムは不明とされていましたが、グリンパティックシステムによりの謎が解明されたと言われています。
ロチェスター大学研究者は「睡眠の質や睡眠不足が、認知症の発症を予測できるという根拠を、ますます強固なものにすることでしょう。」と述べています。
リラクゼーションや整体は医療ではないので大きな声では言えませんが、ヘッドマッサージは結果を出す力があります。
どんなリラクゼーションよりも可能性を秘めています。
数年前から「頭をほぐせば病気が治る」といった本まで出始めています。
病院の紹介で頭ほぐし専門店にお越しになる人も増えました。
私は、実際に人の身体が改善していくのを目の前にしています。
何度も何度もです。
全国の卒業生からの報告もあります。
誰でも結果が出せるのが当協会のヘッドマッサージです。
ただし、一つだけ条件があります。
習ったことを忠実に再現すること。
レシピをかえて同じ味を再現しようとは思わないでください。
まずは、習ったレシピ(メソッド)を忠実に行うこと。
結果が出せるようになってから多少の味付けは変えても大丈夫でしょう。
最後に
医学博士で日本睡眠学会理事の三島和夫先生のお言葉です。
「人は1日の3分の1から4分の1を寝て過ごさなくてはならない。その理由についてはエネルギー消費量の節約だとか、記憶の整理と固定、免疫調整などさまざまな仮説が挙げられている。今回取り上げた「睡眠中の脳内清掃作業」も今後の教科書には間違いなく記載されるだろう。」(日経ナショナル ジオグラフィック社)